矯正医選びのプロ視点①CT・セファロレントゲンによる精密な診断

CT・セファロレントゲンによる精密な診断

CT・セファロレントゲンによる精密な診断

最近、矯正歯科を標榜する歯医者さんが増えてきたことにお気づきでしょうか?これは、矯正治療に対する需要の高まりや、歯科医療の技術進歩が背景にあります。

一般歯科での矯正治療これまでは、矯正治療は専門の矯正歯科医によってのみ提供されるものでしたが、現在では、一般歯科医院でも矯正治療を行うところが増えています。

このトレンドには、患者さんにとっての利便性の向上が大きく関係しています。一般歯科で矯正治療を受けられることで、普段の治療と併せて一貫したケアが可能となり、時間や手間を節約できます。

また、矯正治療に関する情報が広まり、歯並びや噛み合わせの改善が全身の健康にも良い影響を与えることが広く認識されるようになったこともあるでしょう。

しかし、矯正治療は専門的な知識と経験を要するため、施術を受ける際には、歯科医がしっかりとした技術を持っているかどうか、設備や治療のプロセスが適切なものかを確認することが重要です。

自分に合った最適な治療を受けるためにも、事前に十分なリサーチを行い、信頼できる歯医者さんを選ぶよう心がけたいものです。

そこで、患者さんには解りにくい「矯正医の選び方のコツ」を紹介していきたいと思います。
その第一弾は「セファロレントゲンによる精密な診断」です。

セファロレントゲン

当院では先日、レントゲン、歯科用CTを新しいものに入れ替えました。

最新の機器により、これまで以上に鮮鋭度の高いレントゲン撮影が低量の放射線量で可能となり、診断・治療の精度を更に上げることができるようになりました。

どの歯科医院へ行っても、必ずレントゲンを撮影すると思いますが、大きく分けて4種類あり、必要に応じて撮影をしています。

①デンタル

歯牙1~3本程の歯を限局的に撮影します。虫歯や根尖病巣の確認ができます。

②パノラマ

中全体と顎関節を簡易的に撮影します。矯正では小児患者さんに対しても撮影し、生えてくる前の永久歯の本数や形態を確認します。

③セファロ

頭部全体を側方・正面・頭頂方向から撮影することができます。特にセファロ撮影は矯正治療の診断・治療計画を立てる上で重要なものになります。矯正を専門で行う歯科医師がいる医院では必ずあるものですので、矯正治療を希望される場合はセファロの有無を確認するのも良いでしょう。

④歯科用CT

1本の歯から顎全体まで撮影します。①~③は2次元の画像ですが、CTでは歯・顎の骨の3次元的な画像になります。そのため2次元の撮影法では得ることのできなかった情報を得ることができます。

上記4種類とも、画像の鮮明さ・精度が各段に上がり、画像ソフト上で様々なツールを利用して、更に的確な診断を可能にしています。

矯正治療では診断や経年的な変化を確認するため、特に下記の2つ「歯科用CT」「セファロレントゲン」が重要になります。

歯科用CT

歯科用CT近年は、歯科用CTにより、矯正治療の診断は格段に変化しました。矯正治療おける歯の移動は、顎の骨・海綿骨内で可能となります。

CTにより骨の幅が明確になることで、歯の可動域が分かるようになりました。特に下顎前歯部は顎の骨が薄く、歯の移動により歯根が骨から逸脱する現象が起こりやすい傾向にあります。

2次元のレントゲン写真のみで治療していた際には不可能でしたが、歯科用CTにより骨の中の歯根の位置が確認できるようになっています。

また、取り外せるマウスピース型のアライナー矯正では、CT画像を組みこんで、顎の骨に埋まっている歯根の移動をシミュレートできるようになりました。

画像と実物では多少の誤差が生じますし、シミュレーションを100%再現できるわけではありませんが、画期的な進化と言えます。

セファロレントゲン

セファロレントゲン矯正歯科において、患者さんの笑顔や噛み合わせを美しく整えるために、正確な診断と治療計画が欠かせません。

そのために使用されるのが「セファロレントゲン」です。

 セファロレントゲンの利点

正確な診断と計画立案

セファロレントゲンを用いることで、歯や顎の位置だけでなく、頭部全体のバランスや成長予測も考慮した診断が可能になります。これにより、患者さん一人ひとりに最適な治療計画を立てることができ、治療後の結果がより予測しやすくなります。

成長変化の追跡

特に成長期にある子どもや若い患者さんの場合、顎や顔の骨の成長を追跡することが治療の成功において重要です。セファロレントゲンは、定期的な撮影によって成長の変化を正確に追いかけることができ、そのデータをもとに治療計画を柔軟に調整することが可能です。

歯並びと顔のバランスの調和

矯正治療は、単に歯並びを整えるだけでなく、顔全体のバランスを考慮する必要があります。セファロレントゲンは、歯の位置が顔全体にどのように影響を与えるかを見極めるための重要なツールです。

セファロレントゲンを使用していない歯科医院

実は、矯正治療を行う歯科医院で、セファロレントゲンを使用していない歯科医院は珍しくありません。

特に最近、一般歯科医でマウスピース型矯正のみを行うところでは、セファロが無いことの方が多いの実態です。

その理由は「装置が300万円近く高価な割に、使用頻度が少なくコスパが悪いこと」「後付けしようとすると狭いレントゲン室で入らないケースがあること」「分析をそこまで精密にしなくても、見た目だけ歯が整列すれば満足してしまうケースあること」などです。

これらの詳細な情報を得ることが難しく、結果的に治療計画が不十分になる可能性があります。

例えば、歯並びだけに焦点を当てた治療計画では、長期的に見ると顔のバランスが崩れてしまうリスクがあります。また、成長期の変化を正確に追跡できないため、治療の見直しや調整が遅れてしまうことも考えられます。

信頼できる歯科医院

レントゲン撮影により得られる情報は全ての歯科治療において、診断の根幹となる重要な物です。常に最善の診断・治療を患者様に提供できるよう設備を整え、スタッフ一同研鑽を積んでおります。

矯正医を探す時は、「CTやセファロレントゲンの設備が整っているか」を考慮して、信頼できる歯科医院選ぶことが重要と思います。

技術の良し悪し判断るのは難しいですが、この「設備があるかないか」でしたらホームページも比較的簡単に確認することができるでしょう。